PROJECT
AQUAIGNIS
三重県 湯の山温泉にある複合リゾート施設「アクアイグニス」のリブランディングを担当しました。
WHY
かつて日本中で
隆盛した温泉街
はいま。
戦後の高度経済成長を経て、日本には一大レジャーブームがわき起こり、多くの日本人が国内外の観光を楽しむようになりました。1980年代以降はバブル景気と相まって温泉ブームが到来し、各地の温泉街が多くの人で賑わい、飲食や物産、伝統工芸をはじめ地域のさまざまな産業が発展する契機にもなりました。歴史ある温泉旅館などの間では、大規模な設備投資によって近代的な外観を持つ巨大宿泊施設に転換を図る動きが加速するなど、宿泊産業の市場規模は1990年代初頭にピークに達しました。
しかし、バブルの崩壊によって観光需要が減少し、温泉地からかつての賑わいが失われたことで多くの温泉・宿泊施設は経営難に陥り、古びた施設が各地に取り残される状況となりました。うらぶれた温泉街をもう一度人が訪れる場所にリデザインし、地域全体に活力をもたらすことは全国的な課題となっていました。
宿泊産業の市場規模推移(全国)

HOW
地域の文脈を汲み、
温泉施設を現代的に
捉え直すリブランディング。

アクアイグニスは、三重県菰野町湯の山温泉にある複合リゾート施設です。2012年、「湯の山 片岡温泉」の移設を機に、アクアイグニスは「癒やし」と「食」をテーマにした施設として生まれ変わり、ほどなく中部エリア屈指の観光スポットとして、観光客から地元住民までに広く愛されるようになりました。そして、近年急増していたインバウンド需要を見据え、世界中の旅行者たちの目的地になるという次なる目標を掲げた同施設は、2016年にリブランディングを行うこととなり、私たちがクリエイティブディレクションを担当することになりました。


リブランディングにあたって私たちは、改めて地域の文脈を汲み取り、現代の豊かな暮らしにつないでいくことで、施設の価値を最大化することをテーマに掲げました。そして、鹿の角をモチーフに、火と水を表現したシンボルマークをデザインしました。施設名が、ラテン語で「水」を意味する「アクア」と、「火」を意味する「イグニス」に由来していること、鹿にまつわる地名や神社が菰野の周辺にあり、かねてより地域の聖獣として知られていたことがその理由です。また、16世紀から使われているセリフ体である「Garamond」と、19世紀に生まれたサンセリフ体である「Akzidenz-Grotesk」を融合させたロゴタイプは、新旧が共存した施設の特徴を体現しています。

ヴィジュアルコミュニケーションにおいては写真のディレクションを重視し、写真を趣味にしていた施設スタッフに撮影のポイントやルールを共有することで、一貫したムードのもと、高品質な写真を継続的に発信できる環境を整えました。さらに、施設内のサインからWebサイトまであらゆるデザインを通して、ハイグレードな温泉施設であることを伝えるブランディングを行いました。


WILL
眠っている価値を
磨き直せば、
地域はまた輝く
かもしれない。
アクアイグニスは、移設前のおよそ4倍に相当する年間100万人以上の来場者を集める施設となり、外国人観光客も多く訪れるようになりました。私たちが描いたブランディング戦略が、施設の急成長に少しでも貢献できたとしたら、これほどうれしいことはありません。
アクアイグニスは、三重県多気町に三重ふるさと創生プロジェクトとして展開されることが決まるなど、日本の地域活性プロジェクトの中でも群を抜いた結果を残し、温泉地の復興が地域全体の活性につながることを示す事例となりました。今後は温泉地に限らず、地域に眠る資源を掘り起こし、国内外の多くの人たちが共感できる価値をつくり出すデザインを各地で実践し、地域の活性化に貢献していきたいと考えています。

INFORMATION
- What
- AQUAIGNIS
- When
- 2016
- Where
- Mie, Japan
- Client
- Scope
- Re-branding / Logo / CI Guideline / Business card / Web / Signage / Promotion Strategy Support
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Toshiyuki Nakaie, Ryota Mizusako)
- Web Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Toshiyuki Nakaie, Shun Kudo)
- Photograph