PROJECT
発酵生活
京都代表する老舗漬物屋さんに新たな新規事業を生み出し、京都駅中に進出。
WHY
京都の老舗の知恵、
発酵文化を日常に。
西利は、伝統ある京漬物の老舗企業です。日本各地の百貨店などで取り扱われ、漬け物の人気メーカーとしての地位を確立している西利は、京漬物の「すぐき」から発見された植物由来の「ラブレ乳酸菌」を用いた漬け物の開発に取り組むなど、発酵食を通じた健康な食生活の提案をいち早く行ってきたことでも知られていました。日本人の食卓に欠かせない存在だった漬け物が、時代とともにその姿を消しつつある中で、京漬物をはじめとする発酵食の伝統とともに、京都の老舗企業の価値を現代にアップデートするためには、どのような変革が必要になるのでしょうか。
HOW
発酵食品を
日常に
取り入れやすい
形態へ。

私たちは、ヘルシーな植物性乳酸菌「ラブレ乳酸菌」を使った発酵食品を提供する西利のブランド「発酵生活」のリブランディングを行うことになりました。ブランド名の通り、発酵食と日々の生活の距離を縮めることをテーマに据え、老舗企業発のイノベーションを加速させるべく商品企画から深く関わっています。その一環として、ブランドの主力商品となる乳酸発酵ドリンク「AMACO」のコンセプト開発を行うなど、惣菜が中心だった従来の商品群を見直し、スープやドレッシング、ソースなどその場ですぐに飲食ができたり、毎日の食卓に使えるラインナップへの転換を推し進めています。また、発酵食を日常に取り入れ、美味しく健康的な生活を送ってもらうというブランドのコンセプトをわかりやすく伝えるために、可読性を高めた漢字を用い、発酵の様子を表す気泡をフレームにあしらったロゴマークを設計しました。








発酵食品を通して、健康的な生活を提供していくブランドであることをストレートに表現するために、「発酵生活」の文字には可読性が高い明朝体を使用しています。さらに、発酵時に生まれる気泡をあしらったフレームで囲んだロゴマークにすることで、発酵によって体のめぐりが良くなっていく様子や、常に変わり続けていくブランド自体のあり方などを動的に表現しています。



老舗の漬物屋さんという印象から、新しい健康的な発酵食品のブランドという印象になるように、パッケージのデザインでは和洋折衷の感覚を重視して、Plantinという活版印刷時代の書体を中心にデザインを組み、日本のものともヨーロッパのものとも言えるようなデザインになるように心がけました。リブランディング以前よりブランドがそもそも持っていたイラストレーションをさらに活かすべく、タイポグラフィとイラストの面を分けて組むことで、イラストだけで並べたり、イラストとタイトルを並列させたりと、棚での並び方に工夫ができるように設計しています。ギフトボックスのデザインは、泡をモチーフとしてランダムに穴が空いているデザインとしました。中のパッケージの模様が泡の向こうに見えるボックスです。

WILL
京都から
未来の千年企業を
目指す。
京都駅構内の「工房西利」内に設置された「発酵生活 AMACOスタンド」では、気軽に乳酸発酵ドリンクを飲むことができ、世界各地からの観光客やビジネスマンが立ち寄る人気スポットとなっています。今後は、日本各地の駅に同様のスタンドを展開することなども見据えながら、より多くの人たちが発酵食に気軽に触れられる機会をつくっていきたいと考えています。
京都の老舗企業の間では、伝統を引き継ぎ、未来につなげていくためには、時代に合わせて変わり続けることが必要だという哲学が根付いています。京漬物や発酵食の伝統を守ってきた西利もまた、発酵生活をはじめとする現代のライフスタイルに合わせたブランドや商品を通じて企業の変革に取り組みながら、京都の千年企業になることを目指しています。
INFORMATION
- What
- HAKKO SEIKATSU
- When
- 2017
- Where
- Kyoto, Japan
- Client
- Scope
- Branding / Branding stationary / Logo / CI Guideline / Packaging / Pamphlet
- Award
- WOLDA Award of Excellence(2018)
CREDIT
- Art Direction
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa)
- Graphic Design
- NOSIGNER (Eisuke Tachikawa, Ryota Mizusako, Toshiyuki Nakaie, Ayano Kosaka)