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アイデア、について。

言葉とは、「絶対に水漏れしてしまうコップ」のようなものだ。
そのままの思いを伝えようとしても、どうしても最後の10%ぐらいが伝わらない。
そればかりか、あるときは大きすぎるし、あるときは色が変わってしまう。

だから出来るだけ穴をふさいで言葉に変換しようとすると、
面白いことに、自分の考えを編集しなおす時間が生まれる。
誰かと話をするということと、自分の考えを客観的に見直すことは、
思いのほか、僕らの体の中では似ているのだ、と思う。


そんな、今日の話。


ついさっき、うちのスタッフだった「たー」君がウチに遊びに来た。
彼はいま某デザイン専門学校のデザイン科の学生で、現在就職活動中。
現場経験があるので、模型や施工がとってもうまい。
そのスキルに何度となく助けられた。

アイデアを出すのが苦手だという。
模型がうまいから、きっと手に頼ってしまうのだ。
だから彼には、「トシちゃん」の話をした。
「トシちゃん」。もちろん、田原俊彦のことである。


とはいっても芸能情報ではなく、
「ハッとして、グッ」とくるのが、いいアイデアだという話。
この言葉は、アイデアの本質をするどく捉えていると思っている。
なんだか、このマヌケさも人に説明するのに丁度いい感じなのである。


「ハッとする」の部分は、最初のアイデアの強度。


アイデアの最初では、頭の中やCG、模型でたくさんのスタディを組み立てる。
いま自分達が知っているものについて真剣に考える。
そして、自分達が知らないものについても考える。
誰も気がついていない視点を見つけるために、いろんな情報を集める。

コツは、「出来た!」と思った考えを、しばらく寝かすこと。
頭で考えても、80点ぐらいのものしかできない。
本当にすごいものが出来るときは、偶然にも「めぐり合う」のだ。

アイデアの元になる様々な情報は、ある種の「気体」のようなもので、
たくさん気体を集めて、頭の中でアイデアの圧力を高くしたあと、
そのアイデアの気体を冷やすと、凝固して「結晶」になる。
つまり、デザインが出来上がる。

いつも僕は、そんなイメージでデザインを作っている。

そうやって、作っている自分も「ハッ」とさせられてしまう、
ワクワクするような視点を探している。


そして後半、「グッときて」の部分は、ディテール(細部)。


その昔、ミース・ファン・デルローエさんという建築家は、
「神はディテールに宿る」とおっしゃった。
そんな彼自身が、20世紀建築デザインの神様になってしまった。

どうして、細かいところに「神が宿る」のだろうか。

それはたとえば、「美しいこと」や「感覚的にOKだということ」
つまり「グッ」とくるものだということが、
「ハッ」とさせた視点を純粋に伝えるために大変重要だから、なのである。

言い換えれば、細部を詰めていくことによって初めて、
アイデアは強度をもって人に伝わっていく。

この過程で、最初の「ハッ」とした視点に立ち返りながら、
伝わるものになっているかどうか、美しいものになっているかどうかを、
絶えず問いかける。

製造方法を煮詰める。ライティングにこだわる。そんな地道な努力。

アイデアコンペのようなジャストアイデアのデザインが
どうしても好きになれないのは、多くの場合、
この部分をおざなりにしているからだと思う。

こうやって、人に話しながら自分自身にも問いかける。

「ハッとして、グッと来てるか?俺のアイデア。」

という感じで。


ちなみに、トシちゃんのこの歌を聴いたことは一度もない。

コメント

うんうん、確かにそうだ。
ハッっ!とした事を増幅させて仕事になっているなぁ~。グッっと来る前に手が自然に限りなく早くオートマティカルに動いているね。

僕がいつも使ってるキーワードです。

movement
mysterious
manifoldness
extraordinary
origination

collection
form
composition

tripartation
calm exubrance
rythmic

transendance

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